ネットワークセキュリティとは? 基礎知識から企業・個人の対策まで徹底解説!

この記事を書いた人

鈴与システムテクノロジー・PCLCMヘルプデスクチーフ

インターネットが生活やビジネスに不可欠なものとなった現代。日々、オンラインショッピング、リモートワーク、クラウドサービスなど、様々なデジタルサービスを利用しています。しかし、その利便性の裏側には常にサイバー攻撃という脅威が潜んでいます。

私たちが安心してデジタル世界を享受するために、そして大切なデータやプライバシーを守るために欠かせないのが、ネットワークセキュリティです。


ネットワークセキュリティの定義とその重要性

「ネットワークセキュリティ」とは、簡単に言えばインターネットや社内ネットワークなどの通信網を、不正なアクセスやサイバー攻撃から保護し、データやシステム、そして個人のプライバシーの安全性を確保することを指します。

なぜこれほどまでにネットワークセキュリティが必要とされるのでしょうか?

大切なデータや資産を守るため

企業であれば顧客情報や企業秘密、個人であれば写真や金融情報など、デジタルデータは現代の重要な資産です。これらが流出すれば、金銭的被害はもちろん、企業の信用失墜や個人のプライバシー侵害に直結します。

業務の継続性を確保するため

サイバー攻撃によってシステムが停止したり、データが破壊されたりすれば、企業の業務はストップしてしまいます。これは大きな機会損失となり、事業そのものを脅かしかねません。

社会全体の安全を守るため

私たちの生活を支えるインフラ(電力、交通など)もネットワークでつながっています。これらのシステムが攻撃されれば、社会全体に甚大な影響を及ぼす可能性があります。

特に、クラウドサービスの普及テレワークの常態化により、私たちのネットワーク環境は社内だけでなく、自宅や外出先などへと大きく広がりました。

これにより、セキュリティリスクのポイントも増え、より複雑かつ巧妙なサイバー攻撃が日々仕掛けられています。

もはや、ネットワークセキュリティはIT担当者だけの問題ではなく、企業も個人も誰もが意識すべき大きな課題になっています。


ネットワークを狙う主な脅威とその種類

ネットワークセキュリティの対策を講じるには、まず「どんな危険があるのか」を知ることが重要です。代表的なサイバー攻撃の種類を理解しておきましょう。

不正アクセス

ハッカーが外部から企業や個人のネットワーク、サーバー、システムに許可なく侵入しようとする攻撃です。近年では、Wi-Fiのパスワード(ネットワークセキュリティキー)を突破して自宅ネットワークに侵入するケースも報告されています。

マルウェア(悪意のあるソフトウェア)

  • ウイルス: コンピュータに感染し、自己増殖しながらシステムを破壊したり、情報を盗み取ったりします。ランサムウェア: 感染したコンピュータのファイルを暗号化し、解除のために「身代金」を要求します。企業だけでなく個人もターゲットになります。
  • スパイウェア: 利用者のコンピュータ操作や個人情報などを密かに収集し、外部に送信します。

情報漏洩:

ハッキングによって企業秘密や個人情報が外部に流出したり、従業員が誤って機密データを公開してしまったりするケースです。Wi-Fi通信を盗聴され、データが抜き取られるリスクもあります。

DoS/DDoS攻撃

大量のデータを送りつけたり、接続要求を集中させたりして、サーバーやネットワークに過剰な負荷をかけ、システムをダウンさせたり、サービスを妨害したりする攻撃です。

フィッシング詐欺

銀行や大手企業、公的機関などを装った偽のメールやウェブサイトで、ユーザーを騙してID・パスワード、クレジットカード情報などの個人情報を入力させ、盗み取ります。

標的型攻撃

特定の企業や組織、個人を狙い、長期間にわたって執拗に攻撃を仕掛ける手法です。巧妙な手口で社員を騙し、マルウェアを送り込んだり、機密情報を盗み出したりします。


ネットワークセキュリティを構成する主要な対策と要素

これらの多様な脅威から身を守るためには、複数の対策を組み合わせて**「多層防御」**の考え方で臨むことが重要です。

認証・アクセス制御(Wi-Fiセキュリティキーの重要性を含む

「誰が」「どこから」「何に」アクセスできるかを管理する最も基本的な対策です。

強力なパスワード設定の義務化

推測されにくい複雑なパスワード(大文字・小文字・数字・記号の組み合わせ)を設定し、定期的に変更しましょう。特にWi-Fiルーターの初期パスワードは、必ず変更してください。これは不正アクセスの温床となりやすいからです。

多要素認証(MFA)の導入

パスワードに加え、スマートフォンアプリの認証コードや生体認証などを組み合わせることで、万が一パスワードが漏洩しても不正ログインを防げます。

アクセス権限の最小化

従業員やシステムに、業務に必要な最小限のアクセス権限のみを付与し、不要な情報へのアクセスを防ぎます。

ファイアウォール

ネットワークの「門番」のような役割を果たします。設定されたルールに基づき、外部からの不正な通信を遮断し、内部ネットワークを保護します。

VPN(仮想プライベートネットワーク)

インターネットのような公衆回線上に、仮想的な「専用通路」を構築します。これにより、自宅や外出先からでも安全に社内ネットワークにアクセスしたり、通信内容を暗号化して盗聴を防いだりできます。テレワークには必須の対策です。

IDS/IPS(不正侵入検知・防御システム)

ネットワーク上を流れるデータを監視し、不審な通信パターンや攻撃の兆候を検知するとアラートを発したり、自動的にその通信を遮断したりして、不正侵入を防ぎます。

アンチウイルス・EDR(Endpoint Detection and Response)

パソコンやサーバーなどの「端末(エンドポイント)」をマルウェアから保護します。アンチウイルスソフトが既知のマルウェアを検知・駆除する一方、EDRはマルウェアが侵入してしまった後でも、異常な挙動を検知して対応します。

WAF(Webアプリケーションファイアウォール)

ウェブサイトやウェブサービスを狙った特有の攻撃(SQLインジェクション、クロスサイトスクリプティングなど)から保護するための専門的なファイアウォールです。


家庭のネットワークセキュリティ対策も重要!

企業のネットワークだけでなく、私たちの身近な家庭のネットワークもサイバー攻撃の対象になります。特にWi-Fiのセキュリティは非常に重要です。

Wi-Fiルーターのセキュリティ設定を見直す

  • SSIDのステルス化: Wi-Fiのネットワーク名(SSID)を非公開に設定し、外部から見えにくくします。
  • 強力な暗号化方式の利用: 「WPA2-PSK (AES)」やより新しい「WPA3」など、強固な暗号化方式を選択しましょう。WEPやWPAは脆弱性が指摘されています。

初期パスワードは必ず変更する

Wi-Fiルーターに設定されている初期のパスワードや、ログインID(adminなど)は、セキュリティ上大変危険です。必ずご自身で複雑なものに変更しましょう。

ファームウェアを定期的にアップデートする

Wi-Fiルーターなどのネットワーク機器のソフトウェア(ファームウェア)は、定期的にメーカーから更新版が提供されます。これにより、新たな脆弱性が修正されるため、常に最新の状態に保つことが重要です。

IoTデバイスのセキュリティにも注意

スマートスピーカー、ネットワークカメラ、スマート家電など、インターネットにつながるデバイスが増えています。これらも不正アクセスの経路になる可能性があるため、パスワードを初期設定から変更し、セキュリティ設定を確認しましょう。


企業のネットワークセキュリティ戦略

複雑化するサイバー攻撃に対抗するため、企業はより戦略的なアプローチが必要です。

多層防御の考え方

一つの対策だけに頼らず、ファイアウォール、IDS/IPS、アンチウイルス、WAFなど、複数のセキュリティ対策を組み合わせて多段階で防御する「多層防御」が基本です。

セキュリティポリシーの策定と周知

組織全体の情報セキュリティに関するルールを明確にし、従業員に徹底させることが重要です。パスワード管理、持ち出しPCのルール、不審なメールへの対応などを定めます。

従業員へのセキュリティ教育

最新の脅威情報や具体的な対策(フィッシング詐欺の見分け方、安全なウェブサイトの利用方法など)を定期的に教育し、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることが、人的ミスによるリスク軽減につながります。

専門家による診断・コンサルティング:

自社だけで全ての対策を講じるのは難しい場合があります。外部のセキュリティ専門家による脆弱性診断やコンサルティングを活用し、客観的な視点からセキュリティ体制を強化することも有効です。

ログ監視とインシデント対応体制

ネットワークの通信ログなどを常時監視し、異常な兆候を早期に発見できる体制を構築します。万が一、セキュリティインシデントが発生した場合に、迅速に被害を食い止め、回復するための対応計画を事前に立てておくことが不可欠です。


まとめ:ネットワークセキュリティは継続的な取り組み

ネットワークセキュリティは、一度対策をすれば終わりというものではありません。サイバー攻撃の手口は日々進化し、新たな脆弱性も発見されます。そのため、常に最新の脅威情報を把握し、セキュリティ対策をアップデートしていく継続的な取り組みが求められます。

企業も個人も、デジタル社会で安心して活動するためには、ネットワークセキュリティの重要性を深く理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。

そして、万が一ウイルス感染した場合、最速で対応し解決できるような体制作りのためにも専門サービスを利用してみてはいかがでしょうか?

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