DXを任されたら、最初の30日にやること

「DX推進担当になった」と告げられた日、あなたは何を感じましたか?静岡を中心に鈴与グループ約140社のIT・DX支援を行ってきた鈴与システムテクノロジーでは、同じ悩みを持つ担当者を数多く見てきました。そしてわかったことがあります。DXが進まない理由は技術ではなく、「最初の一手の踏み出し方」にあるのです。この記事では、新任DX推進担当者が最初の30日でやるべきことを、現場知見をもとに具体的にお伝えします。
- 効果的にDXを進める手順が分かる
- デジタル診断の28項目でデジタル成熟度をチェックできる
「DXを任された」― 3つのあるあるパターン
新任のDX推進担当者が最初に直面しやすい状況として、次の3つが挙げられます。
① なぜかIT担当も自分になった
総務や経理を担当していたのに、気づけばPC管理・システムトラブル対応まで担当することに。専任の情シスがいない中小企業では、「デジタルに少し詳しい人」がすべての窓口になりやすい構造があります。誰に聞けばいいかもわからない状態でDX推進がスタートしてしまうのです。
② DXって何から始めればいいの?
経営層から「DXを推進してほしい」と任されたが、具体的に何をすればいいのか、成功の定義も、ゴールも何も決まっていない。他社事例を調べても規模も業種も異なり参考にならない、というケースが多く見られます。
③ 「やれ」と言われるが予算も人もない
経営層から「DXを進めろ」と指示されたものの、専任の予算・人員は割り当てられず、兼務のまま一人でスタートを余儀なくされる。専任の担当者を置きにくい中小企業では、こうした状況も起こりやすくなります。
なぜDX推進がうまくいかないのか?― 3つの失敗パターン
DX推進が失敗・停滞する主因は技術不足ではありません。静岡を中心に鈴与グループ約140社への支援を通じて見えてきた共通パターンは次の3つです。
1. ツールから入る
根本原因:何を解決したいかが不明確なまま、手段が先行している。
「とりあえずSlack導入」「ExcelをやめてSalesforceで」と、課題より先に解決策が決まった状態でスタート。導入後に「使いにくい」「やり方がわからない」という声が上がり、誰も使わなくなって形骸化します。
2. 承認を取らないまま進む
根本原因:関係者の理解や協力を得られないままの孤立した状態になっている。
担当者が単独で動き始め、経営層や関係部門が何も知らないまま進行。「そんな話、聞いていない」と予算・人員が確保できずに頓挫するか、現場の反発を受けて推進力がゼロになります。
3. 効果が見えず挫折
根本原因:成功の定義と計測の仕組みがない。
導入はしたが「何が変わったか不明」という状況が続く。KPI(重要業績評価指標)が設定されていないため、評価もできず、次のアクションも決められません。
失敗は「やる気の問題」ではなく「順番の問題」です。正しい順番は次の3ステップです。
Step 1:現状を数字で把握する → Step 2:優先課題を3つに絞る → Step 3:経営層に報告・合意を得る
まず「数値化」から始める理由 ― 全社を動かす3つの効果
DX推進における「現状の数値化」とは、自社のデジタル成熟度を客観的スコアで把握し、経営・現場・外部支援者と共通言語を持つための最初のステップです。なぜ数値化が重要なのか、3つの効果から解説します。
- 経営層を動かす:「感覚の話」から「データの話」に変わり、予算・人員配置の議論がしやすくなります
- 現場の納得感を得る:「どこが遅れているか」が可視化され、現場の関係者が「押しつけられた」と感じにくくなります
- 優先順位が決まる:8領域のスコアを比較し「今やること」「後でいいこと」が整理できます
実際の診断スコア例(静岡・物流業・従業員約60名)
下記は弊社、鈴与システムテクノロジーが提供する「デジタル診断」の結果例です。この例を見ると、バックオフィスのスコアが1.2点(改善優先順位1位)と突出して低く、優先的に取り組む必要があることが分かります。
| 診断領域 | 自社スコア | 鈴与グループ平均 | 改善優先順位 |
|---|---|---|---|
| IT戦略 | 2.5点 | 2.6点 | 4位 |
| データ活用 | 2.7点 | 2.5点 | 5位 |
| AI活用 | 2.0点 | 2.3点 | 2位 |
| ITリテラシー | 3.0点 | 2.5点 | 7位 |
| セキュリティ | 3.5点 | 2.9点 | 8位 |
| ITインフラ | 2.7点 | 2.7点 | 5位 |
| バックオフィス | 1.2点 | 2.3点 | 1位(最優先) |
| コア業務 | 2.0点 | 2.5点 | 2位 |
※ SSTデジタル診断レポートをもとに作成(企業名非開示)。スコアは0〜4点で評価。
デジタル診断の項目でデジタル成熟度をチェック!
弊社、鈴与システムテクノロジーが提供するデジタル診断の実際の項目を使い、会社のデジタル成熟度を自己評価してみましょう。各項目を「1:未着手/ 2:限定的 / 3:部分定着/ 4:全社定着」で評価し、領域ごとの合計スコアを算出してください。8領域・28項目すべてを掲載しています。
【IT戦略】①〜④
- ① 全社でデジタル化推進に関する明確な目的や経営ビジョンが策定されていますか?
- ② デジタル化を推進する上での予算が策定・確保できていますか?
- ③ 自社が利用するITシステムの現状を踏まえて、解決すべき課題の把握・分析ができていますか?
- ④ 全社でデジタル化推進するための専任の組織や、リーダーとなる人材が存在しますか?
【データ活用】⑤〜⑦
- ⑤ 現場の従業員が業務改善および業務効率化のためにデータを活用できていますか?
- ⑥ 経営層が売上向上や原価削減、戦略判断にデータを活用できていますか?
- ⑦ データの蓄積・可視化・分析を支援する体制や基盤は整っていますか?
【AI活用】⑧〜⑨
- ⑧ AIは日常業務の中に組み込まれ活用されていますか?
- ⑨ AIを活用・推進するための人材確保はできていますか?
【ITリテラシー】⑩〜⑫
- ⑩ 従業員は業務で必要とされるデジタル技術を理解し、適切に活用できていますか?
- ⑪ 現場従業員がITツールを円滑に使えるように支援する体制(相談窓口・マニュアル整備など)は整っていますか?
- ⑫ 従業員のITリテラシー向上に向けた教育・研修の取り組みは実施されていますか?
【セキュリティ】⑬〜⑯
- ⑬ 情報セキュリティに関する社内ルールが整備され、全社員に周知・遵守されていますか?
- ⑭ 業務で使用するパソコンやクラウドサービスのパスワードやアクセス権限が適切に管理され、不正アクセスのリスクに対応できていますか?
- ⑮ 社内ネットワークに対して、アクセス制御や通信暗号化、外部からの不正侵入を防ぐ対策は講じられていますか?
- ⑯ 業務用PCやモバイル端末などに対して、ウイルス対策ソフトの導入やセキュリティ更新が行われていますか?
【ITインフラ】⑰〜⑲
- ⑰ 業務に必要なノートPCやスマートデバイス、周辺機器(カメラ・マイク等)が適切に支給・整備され、快適に作業できる環境が整っていますか?
- ⑱ チャット・掲示板・スケジュール共有などのコミュニケーションツール(グループウェア等)が、業務内で有効に活用されていますか?
- ⑲ 場所にとらわれず柔軟に働けるような業務環境・制度の整備は進んでいますか?
【バックオフィス】⑳〜㉔
- ⑳ 人事・給与に関する業務が、システムを通じて効率的に管理・運用されていますか?
- ㉑ 勤怠管理に関する業務が、システムを通じて適切に運用・管理されていますか?
- ㉒ 経理・会計に関する業務が、システムを通じて適切に運用・管理されていますか?
- ㉓ 申請・承認などのワークフロー業務が、システムを通じて適切に運用・管理されていますか?
- ㉔ 請求書の発行・受領・管理などの業務が、システムを通じて適切に運用・管理されていますか?
【コア業務】㉕〜㉘
- ㉕ 営業活動や案件進捗の状況が、リアルタイムに把握・管理できる仕組みは整っていますか?
- ㉖ 主力事業の業務プロセス(例:受注〜納品、製造〜検査など)が、適切に管理・最適化されていますか?
- ㉗ 売上実績や収益状況などが適切に把握・管理できていますか?
- ㉘ 顧客データやデジタルチャネルを活用したマーケティング施策(Web広告、SNS運用など)は、戦略的に実施されていますか?
最初の30日でやること ― フェーズ別行動ガイド
DX推進担当者が最初の30日で行うべき3ステップは、①現状把握、②優先課題の特定、③経営層への初回報告です。鈴与システムテクノロジーが支援してきた鈴与グループ企業の「最初の動き方」をベースに整理しました。
STEP 1(Day 1〜7):現状把握
- 上記デジタル診断の項目などを参考に自社の現状をスコア化する
- 一人で判断せず、各部門の担当者へのヒアリングを並行して行う
- 現在使っているシステム・ツールをリスト化し、「使われているか・いないか」を把握する
STEP 2(Day 8〜14):優先課題の特定
- スコア結果をもとに「業務への影響度が大きい」かつ「比較的取り組みやすい」領域を3つまでに絞る
- 「全部やろう」は禁物。改善案はこの段階では仮説で十分
- コスト・工数の概算を出し、初回報告の材料を揃える
STEP 3(Day 15〜30):経営層への初回報告
- 「現状スコア・優先課題3つ・次のアクション(期限付き)」の形式で初回報告を行う
- この報告が全社推進の起点になる。必要に応じてSSTのデジタル診断(無料)を活用し客観データで補強
- 完璧な計画より「まず動ける状態にする」ことが優先
DX状況の報告で気を付けるポイントとは?
経営層へのDX報告に必要な3要素は「現状スコア(数字)」「優先課題(3つ以内)」「次のアクション(具体的・期限付き)」です。この3点を押さえることで、経営層は状況を正しく理解でき、必要な予算や人員配置の判断をスムーズに行えるようになります。
報告を成功させる3つのポイント
- 数字で話す:「なんとなく遅れている」ではなく「バックオフィスが1.2点/4点で最下位」という具体的スコアで話す
- 課題は3つまで:全部挙げると「で、何から始めるの?」で終わる。絞り込みが信頼につながる
- 次のアクションに期限を:「検討します」ではなく「○月○日までにやります」と言える状態で臨む
×ツールの話から入る:「Slack導入したいのですが」→「それ、今必要?」で終わる。
×現状説明が長すぎる:課題の羅列だけで解決策が見えないと判断を先送りされる。
×費用の話を後回しにする:「承認してから見積もりを」→「先に持ってきて」で差し戻される。
鈴与システムテクノロジーのデジタル診断とは?
鈴与システムテクノロジーのデジタル診断サービスとは、静岡県内の中小企業向けに提供する完全無料の現状把握サービスです。Webフォームへの回答(約15分)だけで貴社専用の診断レポートを提供いたします。診断レポートにはレーダーチャートや業界比較、優先課題、ロードマップなどがまとめられており、レーダーチャートでは鈴与グループ平均のデジタル化スコアと自社を比較することができます。
- 費用:診断から改善提案まで完全無料
- 所要時間:フォームへの回答(約15分)
- 診断レポートのご提供:最短2~3営業日
よくある質問(FAQ)
まとめ
最後に、この記事でお伝えしたポイントをまとめます。
- DXが進まない理由は技術ではなく、「最初の一手の踏み出し方」にある
- DXの現状を数値化することが全社を動かす第一歩
- 最初の30日で「現状把握→優先課題特定→経営報告」のサイクルを回す
- 鈴与システムテクノロジーのデジタル診断では、貴社専用の診断レポートが手に入る
つまり、DX推進を成功させる第一歩はツールを導入することではなく、自社の現在地をスコアで可視化し、客観的に把握することです。
「何から始めればいいかわからない」
「自社の課題を客観的に把握したい」
そんな方は、まずデジタル診断から始めてみませんか?