「AIエージェントって、エンジニアじゃないと作れないんでしょう?」と思って、最初の一歩を踏み出せていない方、いらっしゃいませんか。あるいは、ChatGPTやMicrosoft 365 Copilotを導入したものの「なんとなく使っている」だけで、業務が本当に楽になった実感が持てていない方も多いのではないでしょうか。

実は今、コードを一行も書かずに、自分の業務に特化したAIエージェントを作れる時代が来ています。必要なのは、「やってほしいことを言葉で伝える力」だけです。

鈴与グループ各社でのAI研修・導入支援では、同じツールを配っても、使われ続けた部署とそうでない部署に分かれました。差がついたのは、次の一点です。

本資料の結論

使われ続けたのは、「誰が」「どの仕事に」「どんな手順で」使うかを先に決めた部署でした。

本資料で扱う内容

  • 「ノーコードAIエージェント」とは何か、仕組みの基本
  • プログラムを書かずにAIエージェントを作る、5つの手順
  • 議事録・メール返信・提案書づくりに使える、指示文のひな形3種

「ノーコードAIエージェント」とは何か

AIエージェントの定義

AIエージェントは、決めた条件どおりに情報を受け取り、決めた形で答えを返す仕組みです。新しく配属された人に仕事を引き継ぐときの手順書に近いものだと考えると分かりやすいと思います。「あなたの役割はこれです」「渡す資料はこれです」「この形で出してください」「これはやらないでください」。必要に応じて「どんな言葉づかいで」「誰に向けて書くか」も加えます。これらを書いて登録すれば、それがそのままAIへの指示になります。

これらを書くのに、プログラムの知識は使いません。使うのは、後輩に仕事を頼むときと同じ日本語です。書いた指示文(「プロンプト」と呼びます)は保存して何度でも使えます。担当者が代わっても、同じ指示文を使えば同じ形の下書きが出てきます。

これまでのやり方と、どう変わるか

仕事これまでのやり方AIを使った場合
議事録作成会議後に手作業で30分かけて整理会議メモを渡すと5分で下書きが出る
メール返信状況を整理しながら文章を作成伝えたい要点を書くと返信の下書きが出る
提案書作成過去資料を探しながら構成を検討提案先・相手の課題・自社の強みを書くと章立てが出る
マニュアル整備担当者が手作業で文書化作業の流れを書くと手順書の原案が出る

どんな仕事に向いているか

AIに任せやすいのは、毎回やることの形が決まっている作業です。Excelの集計やグラフ作り、PowerPointの構成案づくり、調べものの要約や比較表づくり、稟議書・社内通達の原案づくりなどが該当します。いずれも「何を渡せば、どんな形で返ってくるか」を先に決められる作業です。

逆に向かないのは、相手の反応しだいで進め方が変わる交渉ごとや、最終的な承認・決裁です。材料をそろえるところまでをAIに任せ、決めるのは人が行う。この線引きが、任せる仕事を選ぶときの目安になります。

AIエージェントを作る5ステップ

ここからは、実際に作るときの手順です。任せたい仕事を1つ決めるところから、チームで使えるようにするところまで、順番に並べています。1つめの仕事であれば、慣れていない方でも数時間の作業で試せます。

1
任せたい仕事を1つ選ぶ
まず1つに絞ります。対象が1つなら、出てきた答えが使えるかどうかをその場で判断できます。選ぶのは、毎週必ず発生する作業です。議事録づくり、メール返信の下書き、提案書の章立てなどが候補になります。選ぶときの目安は3つ。①毎週やっている ②1回にかかる時間が分かっている ③出来上がりの形が決まっている。この3つがそろう作業ほど、効果を確かめやすくなります。
2
AIに伝えることを書き出す
何を出してほしいのか、何を守ってほしいのかを文章にします。基本の①〜④に、必要に応じて⑤⑥を書き足すと、さらに精度が上がります。ここが決まっていれば、あとは書き写すだけで指示文になります。
書くこと内容書き方の例
① 役割AIにどの立場で、何をしてほしいかあなたはプロの議事録作成者です。会議メモから、決定事項が一目でわかる議事録を作るのが役割です
② 渡す情報こちらから渡す材料会議メモ、または録音の文字起こし
③ 出してほしい形返ってきてほしい形式決定事項・担当・期日を箇条書きで
④ 守ってほしいこと禁止事項・注意点社名や人名は変えない、社外秘は書かない
⑤ トーン・文体言葉づかいや文体の指定丁寧語で簡潔に。専門用語は使わない
⑥ 想定読み手誰が読む・使う想定か経営層向け、または現場担当者向け
3
指示文のひな形を作る
Step 2で書いた項目を、ひとつづきの文章にまとめます。これが「指示文のひな形」です。1回目から思ったとおりに返ってこないのは普通のことなので、次の順で直していきます。
💡 出てきた文章を見ながら書き直す
① 書く② 試す③ 思っていたのと違う点をメモする④ その点を条件として書き足す
3〜5回も直せば、そのまま仕事に使える形になります。
4
出てきた内容を確かめる
出てきた文章を読み、思っていたのと違う点を指示文に書き足すと、次からその点は直ります。あわせて、確認のしかたを3つ決めておきます。①数字・人名・会社名・日付は、元の資料と突き合わせる ②あいまいな箇所には「要確認」と書かせる ③使うかどうかは人が決める。AIが担当するのは下書きを作るところまでで、内容の責任は使う側にあります。
5
チームで使える形にする
1人が作ったひな形を、チームの誰でも使える形に整えます。書き添えるのは4点です。どの仕事に使うか、何を渡すか、どんな形で返ってくるか、誰が中身を確認するか。月に一度でも使い方を持ち寄る場をつくると、ほかの部署でもそのまま使える作業が見つかります。

プロンプト設計テンプレート

下の3つは、Step 2で挙げた項目(役割・渡す情報・出してほしい形・トーン/文体・想定読み手・守ってほしいこと)に沿って書いたひな形です。( )の中を自社の言葉に置き換えれば、そのまま使えます。

議事録作成プロンプト
【役割】
あなたはプロフェッショナルな議事録作成者です。会議メモから、決定事項とアクションアイテムが一目でわかる議事録を作ることがあなたの役割です。

【入力】
以下の会議メモを読んでください。
(ここに会議メモや文字起こしテキストを貼り付ける)

【出力形式】
以下の項目を、箇条書きで整理してください。
・会議の目的
・主な決定事項
・アクションアイテム(担当者・期日付き)
・次回確認事項

【トーン・文体】
・簡潔で、事実ベースの文体にすること
・「である調」で統一すること

【想定読み手】
・会議に出席していない上長・関係部署のメンバー

【制約・注意点】
・固有名詞・社名・人名は変更しないこと
・情報を推測で補完しないこと
・不明点は「要確認」と明記すること
メール返信下書きプロンプト
【役割】
あなたはビジネスメールの作成を支援するアシスタントです。受信したメールの内容を踏まえ、こちらの伝えたいことを漏れなく反映した返信メールを作ることがあなたの役割です。

【入力】
受信したメールの内容:
(ここにメール本文を貼り付ける)

私が伝えたいこと:
(箇条書きで要点を記入する)

【出力形式】
・件名(Re:から始める)
・本文(冒頭の挨拶から結びまで)

【トーン・文体】
・丁寧かつ簡潔な文体にすること
・一文を短く、読みやすくすること

【想定読み手】
(例:取引先の担当者、社内の他部署など)

【制約・注意点】
・相手の質問にはすべて回答すること
・確認が必要な点は「別途ご確認させてください」と記載すること
提案書アウトライン生成プロンプト
【役割】
あなたは経験豊富なビジネスコンサルタントです。提案先の課題と自社の強みから、説得力のある提案書の構成案を作ることがあなたの役割です。

【入力】
提案先:(例:製造業・従業員100名)
提案テーマ:(例:AI研修の導入)
相手の課題:(例:AIツールを導入したが定着していない)
自社の強み:(例:実業務ベースのカスタマイズ研修・伴走支援あり)

【出力形式】
提案書の章立て(見出しレベルで5〜7項目)と、各章の概要を2〜3行で出力してください。

【トーン・文体】
・専門用語は使わず、効果・メリットを平易な言葉で伝えること

【想定読み手】
・経営層・情シス担当者

【制約・注意点】
・提案先の業種・規模に合わせた具体例を盛り込むこと
・誇張した表現は避け、事実に基づいて記載すること

まとめ

本資料のポイント

1.使われるかどうかは、始める前の決めごとで分かれます。どの仕事に使うか、どんな形で出してもらうか、誰が中身を確認するか。この3つを仕事ごとに決めておくかどうかが、その後の分かれ目でした。ツールがすでに社内に入っている場合でも、この決めごとは別に必要になります。

2.仕事に合わせたAIエージェントは、プログラムなしで作れます。書くのは、役割・渡す情報・出してほしい形・守ってほしいこと、この基本4つに、トーン/文体・想定読み手を書き足せば十分です。任せたい仕事を1つ選べば、本資料のStep 1〜5の手順でそのまま試せます。

3.ひな形を共有すると、担当が代わっても同じ形の下書きが出ます。1人の工夫を全員の手順に変えるところまで進めて、はじめて部署としての効果が出ます。鈴与システムテクノロジーのAI研修では、この手順をその場で作るところまで扱い、研修後の伴走支援まで対応しています。

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