10の比較軸で答える。
採用選考における「面接」は、これまで人事担当者や現場社員が候補者と直接向き合う「人の面接」が当たり前でした。しかし近年は、あらかじめ設定した質問への回答を録画してAIが分析する「録画型AI面接」が登場しました。さらに、AIがリアルタイムで対話しながら選考を進める「対話型AI面接」など、選択肢は広がっています。
「AI面接」とひとくくりに語られることも多いですが、実際には録画型と対話型では仕組みも得られる効果も大きく異なります。本記事では、人の面接・録画型AI面接・対話型AI面接の3つを比較しながら、自社の採用課題に合った面接方法の選び方を整理します。
・人の面接/録画型AI面接/対話型AI面接、それぞれの仕組みと違い
・10の比較軸で見る、3つの面接方法の特徴
・対話型AI面接が選ばれている理由(データで見る効果)
・自社の採用課題別、向いている面接方法の選び方
面接方法には3つの選択肢がある
採用選考の面接には、大きく分けて3つの選択肢があります。まずはそれぞれの仕組みと、強み・課題を押さえておきましょう。
3つの面接方法をひと目で比較
それぞれの特徴を、10の比較軸で整理すると次のとおりです。
| No. | 比較軸 | 人の面接 | 録画型AI面接 | 対話型AI面接 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 日程調整・対応時間 | △ 双方調整が必要、土日夜間対応が難しい |
◎ 調整不要で撮影期限内ならいつでも受験可能 |
◎ 調整不要で撮影期限内ならいつでも受験可能 |
| 2 | 候補者の心理的ハードル | △ 手ごたえはあるが緊張度高い |
△ 一方通行で受けた感じにくい |
〇 人より緊張しにくい |
| 3 | 評価の一貫性・公平性 | △ 面接官の主観でブレやすい |
○ AI基準で一定 |
◎ AI基準+対話補足でさらに安定 |
| 4 | 深掘り質問 | 〇 対応できるが面接官のスキルに依存 |
△ 一問一答で深掘り不可 |
○ 自動深掘り可(対策リスクは残る) |
| 5 | 候補者体験を活かした魅力付け | ◎ 人対人の熱量・関係構築 |
△ 一方向で魅力付け困難 |
○ 対話の中で魅力を伝えやすい |
| 6 | 見極めの精度(人柄・カルチャーフィット) | ◎ 人ならではの強み |
△ 一問一答で限界あり |
○ 深掘りで判断材料が増える |
| 7 | 採用担当者の運用工数 | △ 稼働・調整で工数最大 |
〇 録画確認は必要だが日程調整、面接対応不要 |
〇 録画確認は必要だが日程調整、面接対応不要 |
| 8 | 導入時の負担 | ― | △ 質問・評価軸設計+確認体制構築 |
△ 質問・評価軸設計+確認体制構築 |
| 9 | 最終的な合否判断 | △ 面接官の所感頼み、他者確認しにくい |
◎ AI評価+複数人での判断が可能 |
◎ AI評価+複数人での判断が可能 |
| 10 | 応募数・母集団への影響 | △ 面接枠の制約で広げにくい |
△ 応募増だが離脱も起きやすい |
◎ 応募増+離脱を抑えやすい |
| 出典:本記事は株式会社PeopleXの提供資料をもとに、弊社が独自にまとめたものです。 | ||||
対話型AI面接が選ばれている理由
対話型AI面接は「AIらしい無機質さ」を懸念されることもありますが、実際のデータでは候補者からも一定の評価を得ています。※各数値は調査結果に基づく傾向値です。
*¹ 出典:Brian Jabarian & Luca Henkel, “Voice AI in Firms: A Natural Field Experiment on Automated Job Interviews,” University of Chicago Booth & Erasmus University Rotterdam, SSRN, 2025年8月
*2 出典:対話型AI面接「PeopleX AI面接」受験者300名アンケート(PeopleX株式会社調べ)
就活口コミサイトやSNSでは「どの企業のAI面接でどう聞かれたか」という体験がすでに共有されており、対策のハードルは今後さらに下がっていくことも考えられます。この点については、対策の一つとして「不正検知エージェント」を備えるサービスもあります。たとえばPeopleXのAI面接では、生成AIによる回答や替え玉受験を検知する機能を上位プランで提供しており、組み合わせることで対応力を高めることができます。
どのケースにどれが向いているか
大量応募の一次スクリーニングを効率化したい場合は、録画型・対話型のどちらも有効です。一方で、人物やカルチャーフィットをじっくり見極めたい場合は、決まった質問だけで終わらない対話型AI面接に分があります。ただし、深掘り質問のパターンに対する対策が今後広がる可能性には留意が必要です。
最終面接や、候補者の入社意向を高めたい場面では、引き続き人の面接が重要な役割を果たします。3つの方法は競合するものではなく、選考フェーズや採用形態に応じて組み合わせることが、これからの採用活動の基本になっていくと考えられます。
まとめ
面接方法に唯一の正解はありません。候補者との深いコミュニケーションで志望度を高めたい最終選考では人の面接が、大量応募をさばく一次スクリーニングでは録画型・対話型のAI面接が、それぞれ強みを発揮します。
なかでも対話型AI面接は、録画AI面接の「24時間対応による効率化」と、人の面接の「深い対話による見極め」の両方を取り込んだ選考手法です。 応募機会の拡大と見極め制度の向上を両立しやすいことから、近年は一次選考の新たな選択肢として注目が高まっています。 一方で、想定回答対策への懸念などAI面接全般に共通する課題も残っています。導入時には質問設計や評価基準の整備、不正対策機能の有無なども含めて検討することが重要です。
自社の採用課題が「母集団の拡大」なのか「見極めの精度」なのか——
まずはボトルネックを整理したうえで、この3つの選択肢の中から、自社に合った組み合わせの選考フローを検討することが、これからの採用活動の鍵になります。
- 24時間対応で日程調整の手間をなくしながら、AIがリアルタイムで深掘り質問を行うことで、一問一答にとどまらず人柄やカルチャーフィットを見極めるための判断材料が増える
- AI基準による評価の一貫性に、対話による判断材料の厚みが加わり、面接官の主観に頼りがちな「なんとなく良さそう」を減らせる
- AIによる評価はあくまで判断材料の一つであり、最終的な合否判断は人が確認・決定するプロセスを残すことが前提
- 質問設計や評価基準づくりに一定の初期工数がかかる点、深掘りパターンへの対策や想定回答リスクが今後残る点は要留意。